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2025年11月25日


要約

  • 業務の属人化や現場任せにより「業務の見えない状態」が生まれ、生産性向上やDX推進の妨げになっている。
  • 業務を可視化することで、非効率やムダが明確になり、標準化や自動化の優先ポイントを適切に判断できるようになる。
  • 効果的な見える化のためには、社内だけでなく第三者の客観的視点を取り入れることで、新たな気づきや改善の方向性が得られやすくなる。

現地法人に求められる業務の見える化~生産性向上、DXに向けて

現地法人の経営者にとって、収益を上げ続けることは至上命題です。そのためには日々の業務を効率化・最適化し、生産性を高めることが経営陣の責務となります。しかし、どの業務に無駄が潜み、何がボトルネックになっているのかが見えていなければ、適切な改善策を打ち出すことはできません。実際、多くの企業で業務が属人化してブラックボックス化し、現場任せでITを含む全体像が経営からは不透明になっているケースが見受けられます。この「見えない状態」を放置していては、真に効果的な経営改善やDX推進は望めません。


属人化・現場任せが生む「見えない業務」

属人化とは、特定の担当者だけが業務の詳細を把握しており、他の人には全貌がわからない状態を指します。日本企業では経験者の知識やノウハウが暗黙知のまま個人に蓄積し、業務の手順や判断基準が文書化されないまま引き継がれる傾向があります。その結果、担当者が不在になると業務が滞ったり、新任者への引き継ぎに時間がかかったりするなど、組織の持続的な成長を阻む要因となります。また現場任せとは、現地の部門や担当者に業務改善やIT導入を委ねてしまい、経営層が十分に関与しない状況を意味します。経営トップのリーダーシップ不足でDX推進が現場任せになると、部門ごとの個別対応ばかりで全社的な整合性を欠き、最新技術の利活用も進まないという指摘もあります。このように属人化や現場任せが続く限り、経営者は自社の業務実態を正確に把握できず、的確な意思決定が困難になります。


「見えない状態」では改善もDXも進まない

業務の現状が見えていなければ、どこに無駄があり何を改善すべきかの判断材料がありません。経営陣が「なんとなく効率が悪い」と感じても、具体的に何を変えれば効果が出るのか不明では、闇雲な投資に終わってしまいます。例えば、現場から「この業務にRPAを導入したい」「新しいSaaSツールを使いたい」といった提案が上がってきたとします。しかし本当に必要なのはそのツールなのか、それとも業務プロセス自体の見直しなのかを見極めることが重要です。現状を可視化できていなければ、その判断すらつかず、せっかくのデジタル投資が期待した成果を生まないリスクが高まります。実際、RPAやAIの導入前には現行の業務プロセスを洗い出し、非効率な箇所やボトルネックを事前に特定することが成功の鍵だと指摘されています。業務がブラックボックスのままでは、どの工程を標準化すべきか、どの部分を自動化すれば最大の効果が得られるかも判断できません。


見える化がもたらす明確な改善ポイント

一方で、現状を「見える化」すれば改善の糸口が一気に見えてきます。業務フローを可視化することで、組織が抱える無駄や重複作業、手待ち時間などの非効率要素が具体的に浮き彫りになります。属人化していた手順も図やフローで共有されれば、誰でも業務の全体像を理解できるようになり、属人依存から脱却して標準化への道が開けます。可視化によって「ここにムリ・ムダがある」「この工程は二重入力になっている」といった課題が明確になれば、経営者は優先的に取り組むべき改善箇所を正確に掴めます。さらに、反復的でルーチンな作業がどこに集中しているかも判明するため、自動化ツール導入の候補を容易に特定できます。このように現状を見える化し、効率化の余地やリスク要因を特定することで、事実に基づいた改善策の検討が可能となるのです。


属人化の解消

業務を可視化し文書化することで、特定の担当者だけが知るノウハウを組織全体で共有できます。これにより誰でも一定の品質で業務を遂行でき、担当者不在による滞りを防ぎます。

非効率の見極め

プロセス全体を俯瞰することで、重複業務や過剰な承認フロー、無駄な待ち時間などを発見し、ムダの排除や手順の最適化につなげられます。

標準化・統制の強化

明文化された業務手順に基づき標準化を進めれば、属人性を排除するとともに、ミスや抜け漏れを防止しやすくなります。責任範囲や承認プロセスが明確化されるため、内部統制やコンプライアンス対応も強化されます。

自動化領域の特定

フロー図を見れば、どの業務が手作業に時間を要しているか一目瞭然です。手順が定型化できる部分にはRPAやAIを適用しやすく、投資対効果の高い領域を選択できます。


現状把握こそ改善のスタート地点

このように、まず現状を見える化し「事実」を把握することがすべての出発点になります。現場の感覚や属人的な勘に頼ったままではなく、データとプロセスを洗い出して初めて、経営は次の打ち手を論理的に検討できます。裏を返せば、見える化なくして効果的なDXも働き方改革もあり得ません。とはいえ、自社内でゼロから業務の棚卸しやプロセス図の作成を行うのは容易ではありません。担当者へのヒアリングだけでも膨大な時間と労力を要しがちであり、社内の人間では気づきにくい問題が潜んでいる可能性もあります。そこでカギとなるのが第三者の視点です。社内外の利害関係にとらわれない中立的な立場で全体を俯瞰し、必要な情報を丁寧に引き出すことのできるパートナーがいれば、見える化のプロセスは格段に進めやすくなります。

見える化の作業を社内中心で進めようとすると、想像の通り、自身の業務や部署の業務を「守る」ようなインセンティブが働いたり、見える化の範囲が不十分なままとなってしまう、といったことも起こりかねません。スピード感を持って、早急に効果を出すためには、JMS Thailandのような外部パートナーの活用は必須と言えるでしょう。

私たちJMS Thailandは、まずお客様の既存業務を徹底的にヒアリングし、フローに落として見える化するところからご支援しています。業務改善やDX推進の土台づくりには現状把握が不可欠であり、当社では多様な業種で培った知見を活かして課題を洗い出します。他業界の成功例やベストプラクティスを踏まえた提案ができるのも、外部パートナーならではの強みです。属人化した業務ほど第三者が入ることで新たな気づきが生まれるものです。まずは現状を見える化し、貴社の次の一手を一緒に見極めていきましょう。