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要約
- 日系企業とタイ企業の関係は、従来の「取引関係」にとどまらず、戦略的連携へ進化させることで新たな成長機会を生み出せる。
- 日系企業は技術力・品質管理・人材育成・グローバルネットワークなどの強みを持ち、協業を通じてタイ企業の競争力向上に貢献し得る。
- 共創開発や販路連携、人材交流、事業承継型M&Aなど多様な協業モデルを柔軟に設計し、長期視点で信頼関係を築くことが成功の鍵となる。
日系企業は長年にわたりタイ企業にとって重要なビジネスパートナーでした。しかし、タイ企業の中には、単なる仕入先・販売先という「取引関係」のままで、日系企業の潜在力を十分に引き出せていないケースや、あるいは、そもそもまだ日系企業との接点がうまく作れていない、というケースもあるのではないでしょうか。
環境変化が大きく、日系企業もタイ企業も変革が迫られる今、両社の関係性を「新たに作る」、「単純取引から戦略的連携へ進化させる」ことで得られる成長機会に、改めて目を向ける必要性が高まっています。
日系企業も変革志向:高まる協業ニーズ
デジタルトランスフォーメーションや脱炭素など事業環境の変化が加速する中、日本企業自身も外部との協業を通じた変革を模索しています。例えば、JETROが海外企業とのオープンイノベーション創出を後押しするプラットフォーム「J-Bridge」を展開するなどの対応をとる背景には、日系企業が海外に戦略的パートナーシップを求めるニーズが存在するのです 。
加えて、日系企業のタイにおけるプレゼンスは、依然として高いものの、中国系企業などの激しい追い上げに晒されている状況です。日系企業の新たな進出も伸び悩んでおり、進出済みであってもこれからの事業展開に悩んでいる企業が多いのが実態で、ここにもタイ企業にとっての協業の可能性が潜んでいます。
「取引先以上」の新たな価値を引き出す
一方、日系企業はタイ企業にとって単なる取引相手にとどまらない、強力な成長エンジンとなり得ます。先進的な技術や品質管理ノウハウ、グローバル市場へのネットワークに加え、現場の改善・効率化や輸出拡大への大きな貢献が見られます。また、日本企業は製品・サービスの品質維持や納期順守に極めて厳格で、基準を満たす相手には深い信頼と長期的な関係を寄せる傾向があるため、日本企業との協業は品質や信頼性の徹底追求につながります。加えて、日本企業は人材育成を含め長期的視点で現地に投資することでも知られており、タイにおける事業継続や能力開発にも腰を据えて取り組みます 。このような「取引先以上」の価値を引き出すことで、タイ企業はこれまでにない実践的な知見や市場機会を手にできるでしょう。
多彩な協業モデル:共創・販路・人材から事業承継まで
戦略的連携と聞くと合弁や買収といった大掛かりな施策を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、企業ニーズに応じた多様な協業の形が存在します。たとえば、新商品の共創開発によるイノベーション創出、販売網の共有による販路開拓、先端技術の導入提携、専門人材の交流・育成プロジェクトなどが考えられます。さらに視野を広げれば、日本企業の後継者問題を解決する形での出資やM&A(事業承継型の買収)といった機会も捉えられるでしょう。ポイントは、自社の戦略に照らし最適な協業モデルを柔軟に描くことです。必ずしも一つの手法に固執せず、双方にメリットのある連携形態を追求することで、協業効果を最大化できるでしょう。
成功の鍵は「つながり方」の再設計
取引から戦略的連携へのシフトを成功させるには、日系企業との「つながり方」自体を再設計することが肝要です。ただ製品やサービスを売買する関係から一歩踏み込み、経営ビジョンや課題意識を共有した上流段階からパートナーと関わることで、協業は格段に実り豊かなものになります。具体的には、共同で市場戦略を策定したり、開発段階からノウハウを持ち寄って製品・サービスを創り上げたりといったアプローチが考えられます。重要なのは短期的な損得ではなく、中長期的な視座で互いの強みを組み合わせることです。そのためには信頼関係の構築が不可欠であり、綿密なコミュニケーションと明確な役割分担のデザインが求められます。こうした戦略視点で関係構築に臨めば、従来は見えなかった協業の可能性が次々と拓けてくるでしょう。
当社 JMS Thailand(日本経営システムタイ法人)では、こうした連携に関心をお持ちのタイ企業、日系企業に対し、戦略立案からパートナー探索、協業スキーム設計、実行支援に至るまで一貫したサポート体制を整えています。今こそ日系企業とのつながり方を見直し、単なる取引を超えた新たな成長の道を共に切り拓いていきましょう。

